Arcadia group

レガシーERPからの解放

英国における代表的な小売業者であるArcadiaグループは、米国での最初の店舗を開店するための技術の支援者としてThoughtWorksを選びました。彼らは、従来から使っているレガシーERPに大きな投資をせずに、この古いシステムの上に軽いWEBサービス層を追加・設定しました。これにより、大幅なコスト削減と開発期間の短縮を達成したのです。

Highlights

  • ちょうど10週間で、ThoughtWorksと顧客のチームは、米国に進出するための基本的なシステム変更を完了させました。
  • これまで用いてきたレガシーシステムに高価で危険な改造を加えることなく、その機能を活用する方法を実現しました。
  • Arcadiaグループは、余計な部分を段階的に分離し、削除しながら、新しいJAVAレイヤ-でサービスを継続的に追加できるようになりました。
  • アジャイルプロジェクトによる方法は、最初は全く知らない点があっても、例えば、米国向けにどのような供給業者が選ばれようとも、開発チームが着実に進歩することを可能にしました。
  • 開発チームのメンバーは、JAVAとオブジェクト指向技術について訓練され、生産性を向上させました。

グローバル化の作戦

英国における最大級の小売業者として、Arcadiaグループは、たくさんのブランドを用いた多様な出口を持っています。これらのブランドは、ヨーロッパ、中近東そしてアジアに及び、さらには急速に拡大されているe-コマースの分野でも頑張っています。


Arcadiaグループは、海外活動をさらに拡張することを視野に、次に挑戦すべき市場として米国を対象とすることにしました。旗頭としての第一号店の開店を目指して準備を行っていく中で、技術上の大きな課題が立ちはだかりました。Arcadiaグループのサプライチェーンは、他の伝統ある会社と同様に、メインフレームベースのレガシーアプリケーションで管理されていて、これらを米国用に拡張するのはとても困難と分かったのです。既存のシステムは多くの英国店舗をサポートしてきましたが、米国の倉庫や店舗にグループのアジアからの供給者の製品を提供するためには新しい機能が必要とされたのです。


Arcadiaグループのアプリケーション開発および支援の部門長であるJohn Walkerは、代案を検討しました。従来の技術基盤の上に必要とされる変更を彼ら自身で行うには6か月かかると見積もったのです。店舗がオープンするまでに、6か月よりも短い期間で開発するために、John WalkerはThoughtWorksのエキスパートであるJim Webberからの”Guerilla SOA”についての説明を聞いたのです。巨大で複雑なレガシーシステムを一度に置き換えるのではなく、また、レガシー技術の制約の中で働き続けるのではなく、Guerilla SOAは、旧システムの上に高速でかつ支援が容易な形で開発するのです。この方法は、古いスパゲッティコードをロックされてしまっているビジネス知識を解放します。そして、旧システムを段階的に置き換えていく手段を提供します。

置き換えではなく、追加による改善

開発部門のリーダーは直ちに検討会を開催しました。大きな資金を一度に投資するよりも、開発を段階的に行ないながら価値を提供していく方が、明らかに魅力的だったからです。最初の打ち合わせは、この小売業者としての特別な状況や要求条件についてThoughtWorksの指導で2週間行われました。そこでは、ビジネスビジョンに基づいて、どのような機能がサービスとして用意されるべきかを関係者とともに明確化するために、プロセスとその役割についてのモデリングを行い、Guerilla SOAの基本原則について検討しました。ここでの焦点は、新しいWebサービスを用いて、米国の倉庫業務をサプライチェーンに組み込むことに絞られました。


ThoughtWorksが提案した方法は技術的にも経済的にもアピール性はないが、レガシーシステムに直接的に改造を加えるという高価な方法よりも、米国での出店という緊急の要請に間に合わせるためのリスクが少ない、ということをArcadiaグループのチームは確信しました。ThoughtWorksの査定では、この方法は、オブジェクト指向技術とWebサービスを用いて、顧客が現有のRPG/DB2要員により数週間以内に実現出来る、との結論でした。


このプロジェクトは開始することを認可されました。このプロジェクトは、米国での事業開始を支援し、Guerilla SOAの有効性を実証し、そしてそれが成功すれば長期にわたって大きなコスト削減をもたらすと期待されたのです。いまや、予定された店舗の開店のための商品の出荷までに、10週間が残されるだけになりました。もしも、このプロジェクトがうまくいかなければ、極めて単純な話として、店舗を開店することが出来ません。

新技術+既存スタッフ=未来に向けた作業域

ThoughtWorksは、プロジェクトの管理をまかされ、米国の倉庫がアジアのサプライチェーンに入るためのサービスとWebフロントエンドの開発を支援することになりました。ThoughtWorksの指導の下に、開発者達とArcadiaグループのレガシーシステムのDBA(データベース管理者)との協業が始まりました。ThoughtWorksは熱心に顧客チームのコーチをしました。彼等は、JAVAもオブジェクト指向プログラミングも、ましてや繰り返し型開発もまるで知らなかったのです。


2週間以内に開発チームは、米国での試行を開始するに十分な機能を作り上げました。しかし、ユーザに対してはしっかりとした印象的なものに見えたものの、その結果は計画よりも遅れていました。議論の結果、JAVAとオブジェクト指向の原則に特化したトレーニングを開発と並行して行うことが合意され、ThoughtWorksの別のコーチによる2週間のコースが実施されたのです。その結果は目覚ましいものでした。プロジェクトの初めの2週間では、8機能ポイントが完了しただけでしたが、10週目の終わりには、開発チームは、1週間に50機能ポイントを完成させたのです。ここで、機能ポイントとは、コードがテストされ、ビジネス的に使えると認められた機能のかたまりを意味します。

進捗状況が可視化され、品質が作り込まれ、予定通りに完成する

ユーザである小売業者達は、毎週示される速い進捗と優れた品質に驚嘆しました。開発者達は、ThoughtWorks StudiosからのツールであるCruiseを用いてビルドと製品提供を自動化しました。また、ThoughtWorksのQAアナリストがテストケースを記述し、それが新しく書かれたプログラムコードの95%をカバーしました。Arcadiaの管理者チームは、ThoughtWorksのアジャイルプロセスの予測可能性を高く評価しました。そのことが、過去に彼等が経験したやり方と比べて、報告書作成、品質管理、プロジェクト管理に大幅な改善をもたらしたのです。


2~3か月の短い期間の内に、目標通りに、新しいサービスとそのためのフロントエンドは完成しました。Arcadiaグループの米国での最初のお店は、棚に十分な商品ストックを持って、無事にオープンしたのです。

Guerilla SOAによる明るい未来

米国での店をオープンするまでの短い時間の中で、ArcadiaグループはGuerilla SOAがあれば、旧来の技術に更なる高額な投資をせずに済むことを発見したのです。その代わりに、彼等はより高速な最新のツールと技術、すなわち、JAVA、オブジェクト指向アーキテクチャおよびCruiseを使うことが出来るのです。それに加えて、既存の開発メンバーで開発が出来るのです。このことは、開発チームのモラルを大きく持ち上げることになりました。他にも、更なる利点があります。変更は、ビジネス的に対応できるかを考慮に入れて進める必要がありますから、それがサービスの変更に反映されなくてはなりません。これにより企業統治は透明になり、変更のリスクは低減されて、企業アーキテクチャの継続的改革が可能になったのです。

Arcadiaグループのアプリケーション開発および支援の部門長であるJohn Walkerは、次のように言っています。
「2~3週間の短い期間で、我々は米国支店開設に必要とする技術が何であるかを理解し、今や、我々は最新のJAVAおよびオブジェクト指向技術で訓練され経験を積んだ開発スタッフを持っています。我々はまた、Guerilla SOAを用いることによって、旧来のレガシーシステムを新しいものに置き換えることなくそのままうまく使いこなすことが出来ることを証明しました。

原文:Case study - Arcadia(ThoughtWorks社サイト)

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