Guardian Inc.

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GNM(Guardian News and Media)は、デジタル革命の最前線にいます。受賞歴のあるそのネットワークサービスguardian.co.ukは、英国において最もポピュラーなニュースウェブサイトです。同社は、顧客、広告業者および編集者からの拡大する要求が、技術の新しい可能性を引き出すべく牽引していると認識しています。


ThoughtWorks社との連携のもとに、Guardian社は、革新的技術の長所を取り入れて、作業プロセスにおける新しい方法を採用しながら、新しいプラットフォームを開発しました。

Highlights

  • 収益が増加:新しいプラットフォームは、柔軟でコンテキストに基づいた広告を可能にするなどの新しい機能を実現して、ページの能力や収益力を著しく増加させました。
  • サイトビジット当たりの参照ページ数が増加:コンテンツへのタグ付け機能、直観的なユーザナビゲーション機能は、サイトビジット当たりの平均参照ページ数の著しい増加をもたらしました。
  • 編集スタッフの生産性の向上:編集スタッフは、コンテンツ管理のプレゼンテーションからの分離、重複したコンテンツの削除、およびコミュニティ作成機能、マルチメディア機能、サイトを跨った直観的ナビゲーション機能などのユーザ対応機能からの恩恵を受けています。
  • 未来への準備が整っている:このサイトは今やデジタルコンテンツプラットフォームであり、柔軟でスケーラブルであって、ユーザ数が1年あたり50%伸び続けても、新しい機能をサポートし続けることが出来るように作られています。

Guardian社

GNM(Guardian News and Media)は、Guardian and Observer ニュースペーパーを、そして、英国で最もポピュラーなニュースペーパーウェブサイトであるguardian.co.ukを、1996年以来、発行してきました。Guardianは、オーナーがScott Trustであります。これは英国ではユニークなメディアオーナーシップの形態であり、Guardianの継続性と編集上の独立性を保障しています。新聞王や政治団体により占有された株主に支配されることなく、Guardianの記者たちは自分たちが見たものを自由に表現することが出来ます。


1996年のサービス開始以来、guardian.co.ukは、英国のオンラインニュースのリーダであり、ベストニュースサイトに贈られるWebby賞を3回受賞しています。しかし、この10年間を通して依然としてリーダーシップを握ってはいるものの、GNMはオンラインジャーナリズムが変化しているというよりも、過去に前例がないほどの革新的環境下に置かれていると認識しています。

急成長のためにはより強力な基盤が必要であった

GNMは、既存の技術基盤で出来ることの限界に近付いていることを感じていました。2006年において、guardian.co.uk のウェブサイトは、いまだ手作業で開発されていました。編集者達は、幾千ものテンプレート、コンテンツの大量の複製、およびコンテンツとプレゼンテーションを混在させるための複数の旧式なコンテンツマネージメントシステムの利用に関与せざるをえませんでした。彼らは端々の小さな改善しか行うことが出来ず、単純な変更を行うだけでも数週間の時間を要していました。


これらの限界のいくつかは、このサイトにおいては既に明確になっており、いくつかの問題については状況が極めて深刻になりつつありました。指導者達は、現状の古いサイトを新しい、より柔軟なデジタルメディアニュース・情報サイトへと段階的にシームレスに移行する計画を作成し、そのために、GNMに最適なパッケージソリューションを求めるよりも、自前の開発方法を選択することを決定しました。

ThoughtWorksとの連携によりAgileを選択

この大規模開発を計画するに当たって、GNMのリーダ達の心に「新登録システム」開発における最近の(悪い)経験が鮮明に残っていて、これが彼らに、主要なITプロジェクト開発における方法を再評価しようとの気持ちをもたらしました。この失敗プロジェクトにおいては、要求仕様定義プロセスを何度も繰り返すことを嫌い、その結果、出来あがったシステムは計画通りに使われなかったのです。そこで、GNMは、新しいプロジェクトでは、Agileアプローチを採用することに決めたのです。Agileでは、ビジネスユーザ側により多くの投資が要求され、開発チームと全てのステップにおいて協業が必要とされます。しかしながら、Guardianの経営者は、それが総合的なリスクを軽減し、複数年にかけて、複数のリリースが必要とされるプロジェクトにおいて、in-flight change (開発しながらの変更)を可能とする唯一の方法であることを理解しました。


Guardianは、慎重に可能性のあるパートナーを検討し、専門家の意見を聞き、このために必要とされる技術力は社内に存在しないことを認識して、この要求条件に対応出来るパートナーとして、ThoughtWorks を選択しました。Guardian 自身の情報チームは、ThoughtWorks との統合チームの中で働き、Agileの技術と能力を学びながら、このプラットフォームのサポートと将来の拡張に備えることに致しました。

2週間の初動期間を経て、2年間の旅を開始

パイロットサイトに焦点を当てた2週間の初動期間を経て、現状のシステムでのGuardianの専門技術および専門知識を明確化しながら、開発の旅はThoghtWorksの指導の下で開始されました。GuardianとThoughtWorksの共同チームはハイレベルの要求仕様を迅速に明確化し、それを実現するためのロードマップと技術的なツールセット、具体的には、lightweight Javaおよびオープンソースアーキテクチャについて合意しました。そして、これをベースにチームは開発をまっしぐらに開始しました。


取り組まなくてはならないことは沢山ありました。主たる技術的挑戦の一つは、コンテンツを移行させることで、旧サイトと新サイトが同じコアデータベースを使いながら、これを壊すことがあってはならない、ということでした。旧システムでは、沢山のコンテンツのオーバーラップがあり、反復利用コピーがありました。新システムへの移行に当たっては、これらが消去されなくてはなりませんでした。


その時点においてGuardianのサイトは、800,000件の記事を所有していました。古いページは比較的に静的なものですが、新しいサイトでのページは高度に動的で複雑なロジックを含んでいることになります。そして、この静的ページから動的ページへの移行に当たって、このサイトの現状のピーク時処理能力である一秒当たり700ページの処理能力は維持されなくてはなりません。


新しいサイトは、マルチメディアコンテンツを可能とし、ビジターとの対話能力を持ち、ソーシャルネットワークとの接続機能がある。そして、その他のコミュニティ作成支援機能を持たなくてはなりません。このサイトは出版のWebバージョンというよりも、その中核においてデジタルコンテンツプラットフォームであるべきであり、ビジネス全体の考え方を根本的に変えていくことを代表しなくてはなりません。そして、その基本となるアーキテクチャは、毎年30%以上の顧客数の伸びを受け入れるものでなくてはなりません。


そして、既存サイトの各セクションから新サイトへの移行は、最小の中断期間で、円滑に行われなくてはなりません。

計画はstep-by-Agile-stepで進められた

このサイトにとってニュースが主たる顧客動員要因ですので、UK and World Newsのサイトを再構築することを主たるゴールとすることで計画が立てられました。チームは、人を驚かす”big bang”を開発するよりも、通常用いる価値において点を稼ぐ着実な道を選びました。この主たるサイトであるNewsサイトをリリースする前に他のサイトがリリースされていきました。開発チームとしては、常に主たるゴールであるNewsサイトにとって必須の要求仕様に基づいて働いていました。しかしながら、注意深い計画に基づき他のサイトの機能を先に完成させ、公的にリリースしていったのです。これらのリリースは、主要なリリースであるNewsサイトのリリースに向けた訓練にもなり、また、主要リリースの微調整のための要求仕様を明らかにしていったのです。

最初のリリースは、旅行サイト

最初のフェーズは、10か月の期間でコンテンツ管理のプラットフォームを再構築して、この新しいプラットフォームと新しいサイトデザインを使った最初のサイトをリリースすることになっていました。この最初のパイロットサイトとして旅行サイトが選択されました。


パイロットサイトとしての旅行サイトは、8か月の開発期間を経て、2006年の12月にリリースされ、そして即座に、ビジター当たりの平均参照ページ数が以前の10倍になるという記録を達成しました。この最初のフェーズでの経験が、その後の継続的な改良の基礎を築きました。これに継続するリリースは時間通りに最少のトラブルで完成していったのです。

Digital部門長であるTom Turcanは次のように述べています。
「プロジェクトが70%ぐらい進んだところで、私達は当初の計画には無かった新しい機能を追加することが出来ました。数百万ポンドのプロジェクトが予定通りに進んでいて、期待した成長を続けている・・・素晴らしい。」

商業的な重要さ、編集上の重要さ、およびリスク、評判、技術的な難易度などの他の要因も考慮に入れたスケジュールに基づき、その他の22のセクション対応の新システムへの転換のためのリリースが行われました。プロジェクトチームは、ビジネスニーズに合わせてリリーススケジュールを調整しました。そして、2008年2月には、この共同開発における最大のマイルストーンであるNews, Politics and Observer(ニュース、政治、評論)のサイトを全くのトラブル無しにリリースしました。

人に投資して、未来に備える

このプロジェクトでは、Guardianの開発者やアナリストに技術を伝承していくことが大切でした。これは、ペア開発、”brown bag” 訓練、およびアジャイルコーチングにより行われました。プログラム開発の素晴らしい成功、およびビジネスの状況に応じて柔軟に変更できる能力に基づき、ThoughtWorksのアジャイルとGuardianの文化的実践能力の融合は、GNMに根付いたのです。


予定時間通りに予算以内に完成するというこの開発能力は、Guardianが以前のプラットフォームでは実現できなかったコミュニティ構築機能を提供することや、ニュース素材を収益化するなどの改革を可能にしました。新しいプラットフォームは、彼らの市場での主導的地位を保ち、ブランドをグローバル化するための道具や能力を提供しました。新しいプラットフォームは、Guardianを世界の主導的なリベラルボイスに持ち上げたのです。

原文:Case study - Guardian(ThoughtWorks社サイト)

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