Pimsleur

オフショアアジャイルにより新しいiPhoneアプリケーションが開発された

Simon & Schuster のオーディオ部門は、この分野で最もブランド知名度の高いPimsleurブランドのCDベースの言語教育製品を販売しています。製品の全ては、CDベースでリリースされています。Pimsleur Express と言う名の兄弟製品が低価格の入門用の旅行向け製品として売られていましたが、現在では販売が停止されています。Pimsleur Express は、一つの入門用の言語の教育と、旅行者用のいくつかの外国語会話を提供していました。iPhoneが普及するにつれ、S&Sは、Pimsleur ExpressのコンテンツをiPhoneに移植し、iPhoneモバイルプラットフォームの新しい特徴を生かすことにより、旅行中の旅行者にとって更に有益なものにする好機会が得られるのではないかと考えたのです。


彼らは、Expressから可能な限りのコンテンツとレッスンデザインを再利用し、開発予算を極力絞ろうと考えたのです。このことは、オーディオ部門にとって、既存の知的財産を新しいフォーマットで再利用し、サンクコスト(埋没費用、未改修の費用)から更なる利益を引き出そう、との新しいビジネスケースを体験することになります。開発コストを下げる必要性に加えて、他のブランドの言語製品がiPhone市場に参入するよりも前に、オーディオ部門はこの新しいiPhoneアプリケーションをリリースしなければなりません。


Pimsleur Language Program のディレクターであるRobert Paris Riger は次のように言っています。
「それはまるで全ての出版業者が夢に見てきたことが実現したかのようです。私達のExpressシリーズは、2003年に初出版され、今や休眠状態にありますが、これを再利用して最新の6件のiPhoneアプリケーションを作りだしたのです。そのための追加の編集投資は殆どしていません。このことが私達に新しいモバイルの市場で、非常に小さなリスクでの新しい挑戦を可能にしたのです。私達は、Pimsleur 2Go Appsで学び、儲けることにより、他社に先んずることが出来たのです。」

成功の歴史

ThoughtWorksは、これまでもこの顧客との間で数件の協業プロジェクトを経験してきており、今回もこの経験に基づいてプロジェクトを進めました。はじめに、ThoughtWorksは、従来のコンテンツを新しい形式で再利用することの有効性をデモするためのプロトタイプをS&Sのために作成しました。そして、今は、ThoughtWorksは、開発コストを最小にし、厳しい納期に間に合わせるために、オフショアアジャイル開発を提案しました。


プロジェクトのスケジュールも人員計画も旅行シーズンのピークと重なっていました。その上で、ThoughtWorksのシニアコンサルタントは、プロダクトオーナーたるPimsleurと共にニューヨークに滞在し、北京にいる6人の開発者からなるチームと一緒に働いたのです。オンサイトにいるコンサルタントは、昼間はプロダクトオーナーと、夜は北京にいる開発チームと連携したのです。これを進めるために、プロジェクト管理ツールとしてBasecampおよびThoughtWorksのMingleの助けを借りました。

悪いニュースは早めに

10週間と言う短い時間枠に収めるために、開発チームによるイテレーションはショーケースとともに一週間単位で進められ、iPhoneシミュレータやiPod Touchを用いたWebexビデオコンファレンスでデモされたのです。この一週間単位のイテレーションは成功の重要な要因でありました。途中においても、プロジェクト全体を通しても、ビジネスユーザは重要なユーザインタフェース上の課題を確認することが出来たのです。このことは誰もが考えるようにやさしいものではなく、ユーザ体験のうちでも最も厳しい部分でした。よくあるように、とくにオフショア開発を用いた場合に起こるように、もしもこのような問題が、開発者がソフトウェアを配布した後に見つけられたとしたら、それはもう遅すぎるのです。そのソフトウェア製品は既にリリースされていて、後ほどに修正しなくてはならないか、または、Simon&Schusterは競合相手の後塵を拝するリスクを負うか、という目に合わなくてはならないのです。


そのようなことが起こらないように、ThoughtWorksのオフショアアジャイル開発では、実機能によるビジネスチームへのショーケースを高頻度に実施しました。そして、このことは、当初のスケジュールに間に合わせるために十分な時間的余裕をもって問題点が検出された、と言うことを意味します。ThoughtWorksとS&Sは、ユーザ体験が満足されるまで、関連コンポーネントを数回の高速イテレーションを介して再設計したのです。チームに対しては、他のカーブも投げられたのです。Appleは、新しいiPhone OS, 3.0 OS について数回のベータ版を出し、最後には最終版を出しました。ThoughtWorksはそれでもこのリリースに耐え抜き、スケジュール通りに新しいiPhoneプラットフォームに乗り換えたのです。これは総合的な自動化テストスイートを含むAgileアプローチによって実現することが出来たもので、変化する環境条件へのセーフティーネットとしての役割を果たしたのです。

偉大な機能が初めて市場に出る

iPhoneアプリケーションは、半時間の言語の主レッスンと、それに続く旅行者が実際の局面で遭遇する典型的な会話群から構成されています。オリジナルのPimsleur ExpressのCDベースの製品群を超えて、iPhoneアプリケーションは有益な新しい機能を提供します。その一つは、話された会話に自動的に同期して、そこに含まれる言葉やフレーズを予め記録されている "word balloons" と比較する機能です。これに加えて、ユーザは会話を前後に自由にスクロールすることが出来て、"Hear it" ボタンを押してフレーズ毎に繰り返すことが出来ます。ユーザは自分の発音を満足がいくまで練習することが出来るのです。


S&Sのオーディオ部門は新製品を出荷することが出来て、市場における競争相手を打ち負かすことが出来ました。このソフトウェアは、追加の別の言語のための新バージョンの開発を単純な作業で済ませるように設計されていて、既存のコンテンツを用いて継続的なリリースを可能としたのです。このように既存コンテンツを使って新しい製品を生み出すことによって、S&S Pimsleurは新製品のための投資を節約しながら、顧客に対して新しい競争力のある価値を生み出す技術を提供したのです。

原文:Case study - Simon and Schuster Pimsleur(ThoughtWorks社サイト)

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