Which?

Which? は、70万人以上の会員を持つ英国で最大の消費者権利擁護・強化のための組織です。Which? は、完全に独立した組織です―この組織のマガジンとオンラインサービスへの登録会員費で運営されていて、政府、宣伝機関、または株主からの影響は受けません。Which? は、すべての消費者に対して、より公正な取引きを呼びかけていて、人々が正しい選択をするための経験豊かでバイアスのかかっていない情報を発行しています。英国では、Which? ブランドは信頼されており、広く認識されています。

Highlights

  • 新しい市場機会:新しいウェブサイトは、Which ? ブランドの影響範囲を拡大しました。
    そして、単なる会員登録モデルのビジネスから脱して、新しい収益チャネルを開設することへとWhich ? を支援しました。
  • 速い開発:ThoghtWorksは、Which ? の携帯ビジネスをクリスマスシーズンに間に合わせるために、走り抜けました。ThoughtWorksは、新しいサイトのコンセプト作りから開発、リリースまでの全体を9か月未満でやり遂げたのです。
  • 経験に基づく設計:ThoughtWorksは、ゲリラテスト、顧客訪問、顧客経験を生かすための創造的な方法の開発チームへの組み込みなどの技術を使いこなしました。
  • 信頼してオフショアを活用:Which ? にとっては、今回が初めてのオフショア開発の経験でした。ThoughtWorksは、ロンドンのマーケティングおよび設計チームとバンガロールの開発チームを分散アジャイル技術を使って結びつけ、それが、Which ? にとって、各ステージの透明で予測可能な進捗状況の把握とともに、莫大な費用削減をもたらしました。

Which? は、市場での新しい機会を認識

Which? は、既存の会員ベースを越えて普通ではWhich? に登録してこないような消費者に連絡して、そのサービスを拡大しようとしています。選択された分野は、携帯電話の買い替え市場でした。Which? は、以前に携帯電話のテスト結果を発表したことがあります。今回は、このサービスを携帯電話の価格比較と、買い替え契約の分野へ拡大しようと考えた訳です。


Which? は、このプロジェクトを早急に立ち上げる必要がありました。10月に始まるホリデイ・ショッピング・シーズンに間に合うように2~3ヶ月で立ち上げたかったのです。
ThoughtWorksが、数年前にForward Internet Groupのために同様のwebsiteを開発したことを聞いて、Which? はThoughtWorksにコンタクトしてきました。結局のところ、Which? は、複雑なプロジェクトを早期に信頼性高く提供してきたThoughtWorksの実績に基づき、ThoughtWorksを彼等の創造的な開発パートナーとして選択しました。

素早く行動する

プロジェクト開始が指示されたとき、開発チームには、コンセプト作成からシステム完成までに8ヶ月しかありませんでした。コストを低く抑えるために、オフショア開発が必要であり、同時に創造的、かつ経験を生かした設計は、英国でオンサイトで行う必要がありました。


ThoughtWorksは、強烈な「発見の週」(”Discovery week”)を指導しました。そこでは、顧客の洞察力に満ちた仕事のレビューや市場・事業分野の調査を初めとして、多様な人々がどのようにして携帯電話をお店で選択して購入するか現地調査をしました。これにより、商品価格比較のための他のwebsiteにはない、真の購買動作に基づく顧客中心の提案を作成するためのデータを得ることができました。


上記に続く週に、ThoughtWorksのプロジェクトマネージャ、技術リーダーおよびインドのバンガロールからの開発者が英国のオンサイトのチームと合流して、フェーストゥフェースで仕事をすることにより、プロジェクトリーダー全員の関係を確立する機会を持つことができました。この期間に、すべてのチームメンバーは、慎重な準備の上で比較ショッピング旅行をして、顧客の経験をする訓練を一緒に行いました。


Which? のDigital Business ManagerであるAlison Morrison氏は次のように言っています。
「チームは、多様なショッピング要求に基づき、目標とする対象の人口統計を参考として多様な顧客の役割を演じました。ある顧客は、自分が何を欲しいかを知っています。一方、他の顧客は助けを必要としています。我々は、このようなすべての可能性についてのパスをテストし、顧客としての旅をして、ThoughtWorksはコンサルタントとしてこれらの行動を記述するためのスケッチとワイヤフレーム(立体図)を開発しました。これだけ詳細レベルで調査したことにより、我々はThoughtWorksが作り上げた顧客経験を信頼することが出来ました。」

2週間でコンセプトから開発に展開

「発見の週」からの情報、顧客の役割の模擬経験および顧客としてのショッピング旅行の体験に基づき、チームは詳細なユーザーストーリー(要求項目)を作成しました。ThoughtWorksの統合的なアプローチに従い、このように極めて早期の段階において、創造する側が開発者と直接に接して働き、それが重要な利益を生み出しています。製品の恰好が見えてくるにつれ、開発者たちは顧客がもっと使い易くするための技術的な改善を提案するようになってきたのです。彼らはまた、技術的に実現が困難な案に早期に気が付き、チームが無駄な日々を浪費することを防いだのです。


ThoughtWorksの ”Experience Design”のコンサルタントは、ユーザインタフェースのモックアップを素早く作りました。キーとなる要素が作り込まれると、ラップトップを持ったメンバーが出かけて、「ゲリラテスト」を実施しました。ゲリラテストは、利用し易さとアピール性の改善のための詳細な経験データを集める高速で安価な手段でした。ThoghtWorksは、モックアップの入ったラップトップを持たせて人を送り込み、ジム、スポーツバー、コーヒーショップ等で、対象とする人口学的対象層の実際の顧客を相手にページ設計やナビゲーション機能の妥当性のテストを行いました。そして、その結果は、分析と意志決定のために持ち帰られたのです。


2週間目の終わりまでには、ワイヤフレーム、詳細要求項目(見積もりされ、優先度付けされ、範囲が定められた項目)および技術的骨組み、についての準備はすべて整ったのです。

Which? のHead of Digital である Steve Pitman 氏は次のように述べています。
「我々にとって、これはオフショア開発への初めての挑戦であった。ThoughtWorks は、何事もなかったような顔をして、我々が望んだものを提供してくれた。」

ロンドンからバンガロールへ、そして、その逆を

ThoughtWorksは、バンガロールでの開発を管理するために、分散アジャイル手法を用いました。”Experience Design”コンサルタントは、Which? のチームと直接接するために、週の2~3日はロンドンで働くことを続けました。彼は、ワイヤフレームを作り、それをバンガロールのチームに伝えました。ユーザインタフェースも含めてすべての開発は、インドにいるPM、技術リーダーおよびBAが管理しました。チームメンバー達は、Skype、ビデオ会議、およびIMを用いて共同作業を行いました。


毎週、実際の進捗状況がWhich? に報告され、彼らのフィードバックを受けました。Which? の創造チームは開発の中に入り込んでいて、新しいwebsite の恰好がついていくにつれ、変更要求は優先順位付けされ、全体の時間計画を狂わすことなく、実現されていったのです。すべての関係者の協業を円滑にし、相互の理解を深めるために、Which? チームのリーダーの全員がプロジェクト期間中に一度はバンガロールのオフィスを訪問し、逆に、ThoughtWorksのPM、技術リーダーおよびBAは定期的にロンドンに出張しました。時が経つにつれ、開発者たちは作業時間帯を1時間遅らせ、Which? の製品チームは1時間早く作業を始めるようにしてオーバーラップする時間を増やし、分散したチーム間での直接的協業の機会を広げたのです。

技術的なハードルを乗り越える

技術的に挑戦的な課題の一つは、Orange や O2 などの主要なネットワーク業者からの異なる形式のデータストリームおよび第3者からのデータをどのように効率的に取り扱うかということでした。CSV、XML、PSV 他の多様な形式の2ダース以上のデータ形式を取り扱わなくてはなりませんでした。このデータ統合数の多さと複雑さがこの市場への新規参入を阻んでいました。


これを解決するために、我々は共通のデータ形式にノーマライズして、アプリケーションデータベースに蓄積するフロントエンドを設計しました。そして、データ提供形式を可能な限りパイプラインの組み合わせで実現できるように工夫しました。パイプラインは、複数の異なる役割を持ったステージで構成されています。例えば、データ流をダウンロードしてデータを抽出する、データを変換する、取引きデータを蓄積する、後処理等の役割です。各ステージは自分の役割を果たしたのち、その結果を次のステージに渡します。いくつかのステージはすべてのパイプラインで共通です。具体的には、ダウンロードステージや取引きデータ蓄積ステージは共通です。一方、データ抽出ステージ、変換ステージなどは個々に異なります。


開発の中間時点で、計画されていたユーザビリティの正式なテストが行われました。イテレーティブな開発なので、テスト結果のフィードバックに基づく変更はスケジュールを変えることなく優先順位付けされて作業に組み込まれました。これにより、テストによって得られた経験のうちシステムの完成までにどうしても反映が必要なものは実現が保障されるのです。

Which? の携帯電話ビジネスは、計画通り予定開始時期に間に合った

10月中旬の、まさしくホリデイシーズンに、Which? の携帯電話ビジネスは予定通りに、開始されました。この最初のリリースでは、携帯電話機と料金の比較、消費者が購入したい場合のベンダーへの接続リンクが含まれていました。ThoughtWorksは、後続するリリースを行い、1月には、携帯ブロードバンドサービスとその料金についての機能を予定通り提供しました。これらのリリースによって、Which? は、価値ある製品を得ただけでなく、新しい顧客層にビジネス領域を広げ、収入源を印刷物やオンライン登録モデル以外に広げるための作戦をテストする能力も持つことが出来たのです。

Which? のHead of Digital である Steve Pitman 氏は次のように述べています。
「優先順位付けの訓練がキーでした。これが、最初のリリースで市場に投入する機能として本当に何が重要なのか、何は後でもよいのか、についての焦点を絞った判断に我々を導いてくれました。ThoughtWorksがたった3週間でプロダクトのコンセプトから、実際の開発の開始まで我々を導いてくれたことに、我々は感銘を受けています。」

原文:Case study - Which?(ThoughtWorks社サイト)

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