スワンインシュランス(Swann Insurance)社

Swann Insurance ~ Niche Insurance at Hight Speed ~

ThoughtWorksは、Swann Insurance のオンラインポータルを8カ月以内に建設し、利用可能としました。これにより、市場状況に合わせて、4つの新しい製品群を発売開始しました。必要な文書をリアルタイムで引用し、商品を販売し、そのために必要なプロセスを直接に実行する能力を持った業界で初のサイトを構築したことにより、この会社は競業他社をはるかにしのぐ効率を実現したのです。

Highlights

  • 完全に自動化されたプロセスは、競争相手と比べてSwannに明確なコスト優位性をもたらしました。
  • 多くの変更要求が吸収され、また、当初の予定になかった二つの製品が加えられましたが、当初予算の2%以内の追加コストの中に納まりました。
  • このオンラインポータルのための技術は、次には、Swannの最も複雑なビジネスプロセスを40日から6時間に短縮し、新しい利益を生み出すために活用されるでしょう。
  • 新製品の導入は、会社の歴史の中で最速でした。
  • ThoughtWorksは、SwannのITサポートグループに協力して、他のベンダーでは到底出来るとは思えなかった高い効率をSwannが達成することを実現しました。例えば、新システムの提供のための準備期間を、6週間から1週間に短縮しました。
  • SOAは、Swannが旧いアプリケーションにオンラインポータルを接続することを可能にしました。

厳しい行動が要求された

オーストラリアの保険業界で最も大きな会社であるSwann Insurance社のエクゼクティブは、市場の成長はピークを迎えつつあることを認識していました。これに対応すべく、彼らは5年間の戦略プログラムを作り、その中で、製品ポートフォリオを多様化すること、補助的なオンライン販売チャネルを追加すること、ブランド認識率を向上させること、を計画しました。その中でも最も重要で早期展開を図った計画は、最大ボリュームを持つモーターサイクル用の保険に、インターネットベースの新しい、ユーザと直接に結んだ販売チャネルを構築することでした。


これまで、Swann Insurance は、この製品を顧客に直接に売るのではなく、ディーラーを通じて売っていました。このディーラーチャネルは、最も効率的なチャネルであり、高い製品価値を提供するものでしたが、最初にモーターサイクルが販売された時の販売の機会を逃していました。競合相手の顧客は、当初の契約期限が満了してもSwann Insurance に乗り換えるオプションを持っていませんでした。Swann Insurance は、また、若い人たちがショッピングにおいて比較を好み、オンラインで買い物をするのがすきなことについての人口統計の研究を欠いていました。

市場をリードする技術

Swann のマーケティングチームは、技術がこの状況を打開する可能性を、具体的には、販売、更新および苦情処理を顧客と直接にオンラインで可能とし、電話、メールおよび直接訪問よりも優れた顧客サービスを実現することの可能性があるとの見通しを持ちました。このことは、この業界では初めてであり、競合相手に差をつけることになるのです。そして、オンラインチャネルは、ブランドをより広い範囲にマーケティングするための優れたプラットフォームになります。保険の更新を検討するためにオンラインでアクセスする保険契約者達は、他の既存の製品や新製品にも関心を持つことでしょう。


Swann のエクズクティブ達は、新しいウェブサイトを飾り立て、称賛するよりも、これにより提案されたプロジェクトを実際的に支援すること、特に、その価値を引き出すこと、市場に速やかに投入していくことに積極的でした。いくつかの競争入札の後、Swann は、ThoughtWorksを再び開発のパートナーとして選択しました。Swann のエクゼクティブは、ThoughtWorks のAgileアプローチが、彼らの "get it done"(速くやり遂げろ)精神に整合していることを知っていたのです。

時間は金―実際に3百万ドルの効果

Swannは、ThoughtWorksに自社のシステムを更改させ、ディーラーネットワークを通して保険証券を売る商取引を改変させる仕事を依頼した5年前以来、同社と関係を持つことになりました。ThoughtWorksは、効率を向上させ、ディーラーからバックエンドシステムへの新しい直接のオンライン接続による改善されたカスタマーサービスを実現しました。これにより、保険証券を入手するまでの冗長な手続きや、日数を削減しました。これは、変革のペースが極めて遅いことで知られた企業にとっては、大きなブレークスルーでした。Forrester Researchによるこのプロジェクトの研究によれば、Swannは、その後の4年間において、3百万ドル超のコスト削減を行ったことになります。成功に勝るものはありません、そして、ThoughtWorksは、信頼されるアドバイザーになったのです。

最短経路―いつも直線であるとは限らない

Swannは、IAG(Insurance Australia Group:オーストラリアで最大の保険会社グループ)の一員であり、IAGがシステムのインフラストラクチャを用意しています。この企業グループの他の一員が、Swannが必要とするITサポートを用意してくれていて、新しいチャネルを介した新製品を素早く、8ケ月を目標に用意します。しかしながら、実際の開発と準備のための時間は一年以上かかることが多いために、SwannはThoughtWorks のAgile技術に転換することによって、より速く結果を得られるように決断しました。


無駄な時間を一切、費やすことが出来ないので、開発者達は主要なビジネススタッフのすぐ脇(within arms-length)で働き、見かけ倒しで優先度が低い要求仕様や、不明確な要求仕様に余計な時間を浪費しないように注力しました。このようにして、最初のロードマップと要求仕様は早期に作成が完了し、オンラインでモーターサイクルの仕様を検索可能とし、販売し、更新するするポータルの開発作業が開始されました。


しかしながら、世界的な経済不況がこの計画の変更を余儀なくさせました。モーターサイクル保険の売り上げ高は劇的に下がったのです。しかし、経営者は、これをむしろ素早い移行への好機ととらえ、シーズンの販売のピークに合わせた二つの新製品の発売を開始しました。


Front End Systemの管理者である Vaugham Coots は次のように述べています。「私たちは、モーターサイクル保険、およびモーターサイクル本体とそれに関する学習費のカバー範囲についての当初に計画した時間軸を楽観的に再調整しました。他のパートナーならば、これを実行することを躊躇したでしょう。しかし、ThoughtWorksは、これを一切のロスなしに、浪費時間なしにやり遂げたのです。」


新製品導入のためのデッドラインに間に合わせるための時間的プレッシャーのもとで、ThoughtWorks はSwannのITチームと協業しながら、従来は6週間掛かっていたソフトウェア開発のサイクルタイムを一週間に短縮しました。SwannとThoughtWorksは、最も重要な要素を最初にリリースするとの強い決意をもって推進し、このことが新製品を早期に立ち上げ、販売シーズンの好機会に間に合わせることを可能にしたのです。


このチームは次の優先度の機能の開発を続けて、6~8週間毎にリリースしています。具体的には、顧客に直接の連絡をとったモーターサイクルの更新、そして、その次に顧客からのクレーム処理です。そして更には、モーターサイクル保険についての説明書類、更なる新製品の紹介と販売が続きます。


先ほどのVaugham氏は、次のようにも言っています。「ThoughtWorksは、私たちが後で付け加えたいと思っている機能("nice to have" pieces)を刈り取ることを勇気付けてくれます。私たちの顧客は、私たちが宣伝を始めるよりも以前に、次に新しく付け加えられるオンライン機能が何であるかを見つけています。」

Corporate DevelopmentのSenior ManagerであるPaul Ayton氏は、次のように述べています。
「このようなことは、ThoughtWorksによってもたらされたシステムの柔軟性とリリース効率の良さ無しには不可能でありました。実際のところ、私達の最新の二つの製品―Life and Bill Payment-は、私達のこれまでの経験の中で最速でした。」

Swannは素早い―要請に即応した債権保全

モーターサイクル保険の機能を完成したのち、債権支払い保全処理が次のIT化の対象とされました。これにより、Swannは世界的な不況が進む中で、払い戻し可否への顧客の心配を和らげることを狙っています。


「この製品は、ThoughtWorksによってもたらされたシステムの柔軟性とリリース効率の良さ無しには実現できなかったでしょう。実際に二つの製品―生命保険および債券の払い戻し(Life and Bill Payment)-の導入は、これまでにわが社で扱ったもののうちで最速でした。」と全社開発本部のシニアマネージャであるPaul Ayton氏は語っています。


このプロジェクトの一つの長所は、新しい支払いおよびドキュメントサービスが自動化されていることです。保険証券を販売し、それを一切の手作業なしにバックエンドシステムに反映することが出来る、Swannはそれが出来る保険業界の中でも希少な存在です。これが他社には出来ない保険証券の販売およびサービスを実現し、コスト削減を可能にしています。新しい生命保険製品は、まさしくそのような事例なのです。

新規顧客での事例―40日が3分に

他の保険会社では、そのためのバックエンドの事務処理のオーバーヘッドが多大なために、生命保険証券を顧客に直接に売ることが出来ないのです。保険業者は、顧客に保険証券を渡すまでに40日強の日数を要します。同じ保険証券が、Swannでは一切の手作業なしにオンラインで発行されます。これは従来からあるシステムを置き換えることなしに、オンラインポータルと従来システムの連動を可能とする内部的なサービスオリエンティッドアーキテクチャにより実現されています。


Swannは、次のステップとして、ディーラーやブローカーの販売チャネルを、上述の支払い、ドキュメントサービスコンポーネントに接続することを考えています。ThoughtWorksではこのことを既に考慮に入れていて、そのためのコンポーネントを開発済みです。これにより、これらのセールスチャネルのサイクルタイムは削減されるでしょう。そして、これは既存のシステム資産からの更なる見返りを生み出すことになるのです。

更なる二つの新製品の発売―たった2%の追加コストで

複雑なシステムの開発プロジェクトは、遅延すること、計画が中止になることが良くあります。このプロジェクトにおいては、ビジネス環境が急速に変化するために、リリース計画が4回も変更されました。複雑な統合処理、そして、開発され、テストされ、配置されるコンポーネント群を抱えて、このプロジェクトもロープ際まで窮地に追い詰められてしかるべきでした。しかしながら、このプロジェクトは、当初2009年6月に完了する予定で合ったものが、実際は2009年7月末に完了したのです。しかも、当初計画にはなかった新しい製品や機能を追加して実現したのです。


このプロジェクトは、技術的にはオンラインフロントエンドでJRuby(Ruby言語のJavaインプリメンテーション)を活用することにより、新しい境地を切り開いたのです。Java, WSDLベースのWebサービス、そして、Tivoli Access Managerを統合して前面の機能を実現し、更に、OpenVMSおよびDB2を使った旧来の中核システム群と直接的に連携を取ったのです。JRubyとThoughtWorksのアジャイル技術による生産性向上技術の活用は、従来の伝統的技術や保険業界で一般的に用いられている開発技術であればはるかに長時間を要したであろうシステムを、力強く、効率よく開発したのです。

次の5年間に向けての力強いスタート

モーターサイクル保険を顧客にオンラインで直接に販売するポータルは、今や主要なビジネスドライバーであり、Swannが特別なマーケティングやプロモーション活動を行っていないにも関わらず、当初予定の30%を超える売り上げを達成しました。Swannは、既に4つの新製品をこのポータルで発売し、そして、期待以上の成果を達成しました。顧客が新しいやり方で動くことへの意欲、すなわち、全体のビジョンを優先度付けされた小さな要素に分割し、かつ、ビジネスユーザーが開発者と直接的に連携していくことへの意欲、がこのシステムの目覚ましい成功を導くための決定的な要因となりました。そして、これは、ThoughtWorksからの技術的、戦略的な貢献によって生み出されたものであり、この8カ月のプロジェクトだけでなく、今後の5年間にも役立つものと言えます。

Front End SystemsのマネージャーであるVaughan Coots氏は次のように述べています。
「私達は当初にモーターサイクル保険を開発するために用意した時間で、楽天的に自転車や学費までをカバーするように進めました。他のパートナーであれば立ち止まってしまったでしょう。しかし、ThoughtWorksがもたらしたプロセスは、それを全くのロスなく、時間の浪費もなく実現したのです。」

原文:Case study - Swann Insurance(ThoughtWorks社サイト)

お問い合せ

ご質問などございましたら、[ソリューションに関するお問い合せ]までお問い合せください。