BT Financial group

BT Financial Groupは、賞を受けたSuper for Lifeアプリケーションを開発するにあたって、ThoughtWorksと連携しました。このシステムは、顧客が彼等の年金基金投資へのアクセスと管理を可能とします。この投資は、彼等の一般的な銀行製品と完全に統合されていて、そのこと自体がこのマーケットにおいては革命的な改革でした。BT Financial Groupは、オーストラリアで最大の銀行であるWestpac銀行の資金運用部門です。

Highlights

  • BT Super for Lifeは、オンラインバンキング、退職年金運用および保険を機能豊かに組み合わせた製品を、初めてオーストラリア人に提供しました。
  • このプロジェクトは市場で初めての機能を、開発開始後9か月で消費者に提供しました。
  • サービス開始後、460 Millionドルを超えるファンド、12万人の新規顧客が集まりました。
  • 9か月のうちに、70以上の社内および第3者のシステムと統合したことは、BT Westpacに真の競争上の優位性をもたらしました。
  • この新製品は、BTに数々の賞をもたらし、低価格で使い易いオンライン製品であり、ユーザフレンドリーであるとの評判をもたらしました。
  • TDD(Test Driven Development)とCI(Continuous Integration)は、このシステムを統合するための複雑さが高いにも関わらず、コード品質を高く保つことに寄与しました。

オーストラリアは、世界中で最も進んだ退職貯蓄制度を持っている国の一つです。この制度は、superannuation(老齢退職年金)制度、略して”super”として知られています。その結果として、オーストラリアの資金管理事業会社は、ドルの取り扱い高ベースにおいて世界で第4位になっています。オーストラリアの人口が2千万人強であることを考えると、これは驚くべき、そして印象的な事実です。


このように世界をリードする貯蓄制度を持っていながら、この2~3年前までは、オーストラリア人はこの老齢退職年金を殆ど制御出来ず、自分の資金をこの貯蓄制度に活用するための動機付けを殆ど持たなかったのです。


従業員達は、彼等の資金を誰が管理するかの選択権を持たず、雇用主が資金管理会社を決めていました。そしてまた、少数の例外を除くと、従業員達は、資金の運用状況を見たり、資金の配分を変更するために、オンラインでアクセスすることは出来ませんでした。自分の口座に対する選択権や管理権を持たないため、従業員の多くはそれに関心を殆ど持ちませんでした。勤務先が変わっても投資状況が変更されないことも多く、別々の会社に管理されている6、7つ、あるいはそれ以上の口座を追跡していくことは悪夢のようでした。そして、また、複数の資金管理先を持つことは、費用がかかることでもありました。

法律の変更がマーケットを開いた

2006年に状況が劇的に変わりました。新しい法律は、自分の老齢退職年金をどこの会社が管理するべきかを従業員が選択する権利を与えたのです。最早、雇用主の選択に左右されることはないのです。この新しい法律施行にすぐに続いて、雇用主による9%の義務化された投資に加えて従業員達が自分のポケットマネーを投資することを推奨する税制優遇措置が実施されました。これらの変更により、退職資金会社は、より競争を意識せざるを得なくなり、変革へと駆り立てられたのです。


既存の管理下にある膨大な量の資金が、今や、誰であろうと、最高のサービス、管理、価格の製品を提供することのできる会社が、ライバルを抜いてマーケットシェアを獲得できる、という競争下に置かれることになったのです。それに加えて、利益目的のファンドの販売は(非営利の事業ファンドと異なり)、ファイナンシャルプランナーに対して取引手数料を支払うことの慣習の圧力下にあり、これが増加しつつある企業関係者の製品選択において影響を与えていました。


このような挑戦と好機に直面して、BT Financial Groupは、中途半端な競争では役に立たないと決断しました。彼等は、BT Super for Life を始めることにしたのです。

BT Super for Life製品の最高責任者であるCatherine Galtonは、次のように述べています。
「私達は、顧客がより進んだ透明性と、より優れたオンラインサービスを強く望んでいることを知っていました。そして、私達はこれらを顧客に届ける最初のプロバイダーになろうと決断したのです。」

もしも彼等が顧客の視点から設計された製品を提供出来れば、すなわち、オンラインアクセスが容易で、管理費が安く、取引量が隠されていない製品を提供出来れば、BTがライバルを抜いて退職年金口座を得ることが出来ることを知っていました。さらにまた、もしも彼等がWestpac銀行の口座と統合して、クレジットカードや保険などの製品と連携出来るようなシステムを構築出来れば、BTとWestpacはこれを巨大な競争優位点とすることが出来ると分かっていました。

70以上のシステムと接続

BTは、新しい製品のビジョンの詳細を決めるのに6カ月をかけました。オンラインファンドの管理と投資先割当てに加えて、顧客は生命保険にも入ることが出来て、Weatpac銀行の口座とクレジットカードにアクセス出来て、ロイヤルティーポイントをsuper dollar contributionに変換出来て、外部の口座をBT Super for Lifeに連結出来て、その他にも色々と出来るようにしたい。これまで、誰もこのような機能は持つことは出来ませんでした。しかし、BTは、競争相手は、まだこのような機能を用意しようとしていないことを知っていました。


これは、巨大なプロジェクトになっていきました。直観的なユーザインタフェースを保証するために、顧客中心設計が必要とされていました。しかしながら、それよりも更に大きな仕事は、システムの統合でした。70以上のWestpacおよび第3者のシステムと接続するのです。その中には、メインフレームの銀行の中核システム、unit registry and pricingシステム、銀行顧客情報および顧客関連管理システム等が含まれています。これらのシステムの多くが、これまで他のシステムと統合した経験がなく、システムによっては手動の処理ステップが含まれていたりしました。サービス指向アーキテクチャSOAが必要とされていました。それにより、Webサービスを活用して、システム間をルースリーカップル(loosely-coupled)で、かつ、しっかりと接続する必要がありました。


この頃に、ThoughtWorksは、BTの他のグループの仕事を完了したところで、その仕事が短期間で完了しながら高い品質であることが噂になっていました。BTのSuper for Lifeチームは、ThoughtWorksと仕事を開始し、高いコード品質を得るために、テスト駆動開発TDD(Test Driven Development)やCI(Continuous Integration)などのキーとなるアジャイルプロセスをどのように取り入れるかを検討し始めました。

品質で勝ち、技術改革に基づいてシステムを提供する

ThoughtWorksの専門技術とプロセスに次第に感銘を受けるようになり、BT Super for Lifeチームは、プロジェクト全体を支援してもらうことを相談しました。ThoughtWorksは、これに対して、インドのオフショアアジャイル開発組織を活用する提案をして、結局、仕事を獲得しました。合同チームは直ちに仕事を初めて、ビジネスチームと技術チームは手と手を取り合って現地で働き、プロジェクト全体に対する要求仕様を作成しました。オフショアチームは強化され、25名以上のThoughtWorksのメンバーからなるチームとなりました。シドニーとバンガロール(インド)のチームは、連絡と情報の流れを増やすために顧客現地サイトを訪問しました。


Super for Life チームは、必ずしもすべてが円滑に進んでいなくても、アジャイルプロセスが与えてくれる進捗の透明性に、特に感銘を受けました。最初のリリースの途中で、期待されているサービス開始日までに開発すべき項目が多すぎて、間に合わせるためには開発項目の削減が必要であることが分かってきました。そのような状況においても、「ユーザストーリー」という個別の形式で集められた要求仕様の可視性と粒状性は、ビジネススポンサーにとって、どの機能を後のリリースに遅らせるか、あるいは、単純に削除するか、の判断をすることを容易にしました。

ThoughtWorksのDirector of Sales and MarketingであるKeith Doddsは次のように述べています。
「シドニーおよびバンガロールに広がった私達のチームは、アジャイル開発技術を活用して、2週間ごとに動くソフトウェアを顧客にデモンストレーションして見せました。このことによる継続的フィードバックと協業が、私達およびBTに、アイデアを改革し、開発フェーズを通して革新していくことを可能にしました。」

BT Super for Life製品の最高責任者であるCatherine Galtonは、次のように述べています。
「Super for Lifeは、私達にとって大きな仕事でした。しかし、それにより、老齢退職年金の関連製品、特に、顧客のオンライン経験についての新しい標準を確立しました。私達がこれほどに複雑なシステムをこれほど速く開発するのに、ThoughtWorksは、欠かせない存在でした。」

そのシンプルさが、賞を獲得

9か月後に、BT Super for Lifeは、市場で初の機能とともに顧客に提供されました。その後、2週間以内に最新の最良製品に対するSuperRatings Fund of the Year賞を獲得して多くの企業の着目を集めました。メルボルンの日刊紙The Ageは、「物まねをもてはやす傾向がある中で、Westpacは、オンラインで銀行口座に接続されたシンプルで安価な最高製品(super product)に重点を置いた最初の主力銀行である。」と報じました。

Westpac銀行のCEOは、このプロジェクトを次のように称えました。
「私達は、Super for Lifeの中に、一級クラスの本当に最高クラスの製品を持っています。」

発売から1年後、BT Super for Lifeは、8万人以上の新規顧客と、283Millionドルのファンドを獲得しました。

BTのCatherin Galtonは、次のように述べています。
「ThoughtWorks の迅速さ(agility)とプログラム提供への集中力は、BTがこの革命的なスーパー製品を創造するための基盤でした。私達は、オーストラリア人が自分の生涯の年金を所有し管理することを容易化することに情熱を掛けてきました。そして、私達は、ThoughtWorksというパートナーを得た利点によって、BT Super for Lifeを介して私達のビジョンを実現することが出来たのです。」

BT Super for Lifeは、技術革新と最高の金融サービスを表彰するAustralia’s iAward 2008、最良の老齢退職年金Websiteを表彰する2008 Rainmaker awardおよびITにおける優れた実績を上げた世界の100社を表彰するglobal CIO 100 Award を獲得しました。
BT Super for Lifeは、同じ製品を使って、St GeorgeおよびBank SAインターネットバンキングサービスでも、もうすぐ提供されるようになります。BT/WestpacとThoughtWorksは、新しい製品の開発のために共同で働き続けています。

原文:Case study - BT Super for Life(ThoughtWorks社サイト)

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