The Pittsburgh Cultural Trust

芸術をオンラインに

The Pittsburg Cultural Trust (PCT) は、市の7つの主要な芸術組織をメンバーとするコンソーシアムを運営することによって、メンバーの費用を節約し、芸術の出典の機会を増やしています。ピッツバーグにあるその設立コミュニティーは、このような共同の努力に対して、費用的に極めて協力的にやってきました。共同のWebサイトである www.culturaldistrict.orgは、イベントの開催を宣伝し、情報を提供し、寄付を募り、そしてメンバー組織のためにチケットを販売しています。このサイトはピッツバーグエリアの芸術のパトロン達が、最新の情報を得ることが出来て、イベントのチケットを販売し、そして7つのメンバーグループにまたがったサービスを提供するための唯一のサイトであることを意図して作られています。Tessitura Networkからのソフトウェアがこのサイトを強力にしています。Tessitura Software は、チケット発売、寄付募集、他の主要な機能を、米国、カナダ、英国、およびオーストラリアの主要な芸術組織に提供しています。Pittsburg Cultural Districtのメンバー組織は、各々が自分のブランドのウェブサイトを持っていますが、チケット販売については共用サイトで行われています。

Highlights

  • PCTは、開発が始まった後に設定された新たな要求仕様に基く機能が記録的なオンラインチケット販売を達成したことにより、プロジェクトの価値を5か月で実感しました。この結果、最初のリリース予定は、2番目のリリースに変更されましたが、当初予定から2~3週間の遅れにとどまりました。
  • 極めて優れた新ユーザビリティ機能がオンラインチケット販売に拍車をかけました。オンラインチケット販売は、電話やボックスオフィスによる販売を上回るようにするという長期目標を達成するペースで伸びていて、これがPCTのコスト削減に大きく寄与すると共に、顧客の経験を改善することにも役立ちます。
  • 経験設計(experience design)のコンサルテーションは、効果は同じでも実現が容易な方法を推奨することにより、主要な機能である自分の座席の予約機能 SYOS(Select Your Own Seat)の開発費用を半分に削減しました。
  • PCTの開発チームは、新しい基礎技術とRadiant CMSを使って、メンバー組織が新しいコンテンツをサイトに加えることを可能にしました。
  • オンショアとオフショアの混合開発モデルは、PCTにアジャイルプロセスを学ぶことを可能にし、また、予算の範囲内でプロジェクトを運用しながら将来に向けて自分達のプロセスを最適化することを可能にしました。

非営利団体として費用の管理は極めて重要であり、コンソーシアムとしてはサポート費用のバランスを取りながら、この共用サイトの情報を最新の状態に保たなくてはなりません。このウェブサイトの当初の実現方法では、コンテンツ管理システムCMS(Contents Management System)が欠けていて、高頻度のイベントの案内や宣伝を行うためのテストやリリースを難しくしていました。これに加えて、2番目の共用サイト、www.pgharts.org が存在し、チケット販売やその他のイベント情報を提供していました。このことが、www.culturaldistrict.org サイトを訪れたパトロン達に、チケットを購入する際や、イベント情報が最新でない時に、混乱を与えていました。共用のチケット販売手段の一つとして、機能や支払い方法が制約されているため、オンラインでの販売は電話やボックスオフィスでの販売を下回っていました。メンバー組織は、費用上の理由からこの状況を方向転換したいと望んでいました。

顧客の経験を改善する

Cultural District Consortiumは、各々のメンバー組織と主要ユーザと共に、何が求められているかについて議論しました。何にもまして最も重要なことは、オンラインでのチケット販売のレベルを上げること、究極的にはこれを最大の販売チャネルにしたいとの願望でした。そのためには、オンラインで座席を選択し、予約する新しい機能を作らなくてはなりません。オンラインでこれが出来ないために、顧客は電話やボックスオフィスに行かざるを得ないからです。これに加えて、このサイトにおける組織のブランディングを強化すること、新しいイベントや情報の更新を速くすること、そして、その結果として、このサイトがピッツバーグにおける芸術の主要なゲートウェイとして顧客にサービスできるようにすることが必要です。


共用ウェブサイト www.culturaldistrict.org のオンラインチケット機能の再設計、コンテンツ管理サービス、サイトの保守と運用、についてのRFP(Request for Proposal)が発行されました。ThoughtWorksは、PCTの管理者と綿密に相談して、このプロジェクトのビジネス上の要求仕様、優先度そして制約条件について理解に努めました。そしてさらに一歩進めて、自分の座席の予約機能 SYOS(Select Your Own Seat)のプロトタイプを開発し、デモするチームを作りました。このことが、「ThoughtWorksチームは、Tessitura APIを活用して効率良く働き、改革を進めることが出来る。」とPCTからの信頼を得ることにつながりました。


ThoughtWorksの短期間での開発提案とThoughtWorksがプロジェクトでの予定を守るという評判は、顧客がオンラインでのSYOS機能とシーズン予約機能を当初の予定よりも早く欲しいという要請に適合しました。そしてこれに加えて、コストを低く抑えるためにオフショア開発チームを活用すること、Radiant CMS等のオープンソースソフトウェアを使うことの提案は、PCTにとって仕事を完結させるためのプロジェクト費用を予算内に収めることを意味しました。PCTはまた、ThoughtWorksによるアジャイル開発技術に強い関心を持ちました。この方法では、繰り返し型の段階的開発が行われ、早期に定期的繰り返し型のビジネス価値が提供される利点があります。このやり方は、伝統的なビッグバンの方法でプロジェクトの最後にだけビジネス価値が提供されるのと比べて、ユーザにとって効果的です。

走りながらのスタート

最初の3週間で、ストーリーと呼ばれるビジネスシナリオの形で要求仕様を収集するアジャイルプロセスを実施しました。そして、次にこれらの要求仕様について、見積もりを行い、優先順位付けをして、リリース計画へと展開しました。ロードマップが作成され、承認された結果、最初のPCTのリリースのための開発では、古い www.culturaldistrict.org サイトを置き換える基本的なサイトの開発を行い、2010年の6月に完了、すなわちプロジェクト開始から6か月後と予定されました。そして、これに続くリリースが10月まで高頻度で行われる計画となりました。


始まりの3週間の後に、ユーザのレビューとフィードバックを伴う週単位の開発が始まりました。PCTの開発者達にとって、アジャイルプロジェクト、Ruby on Rails フレームワークおよびRadiant CMSは、初めての経験でしたので、ThoughtWorksの開発者がPCTの開発者とペアを組んで、これらの技術と開発実務をコーチするようにしました。

重要なのは顧客の経験

顧客に直面しているウェブサイトとして、チケット購入者、登録者、提供者などの狙った顧客を惹きつけるために強制的なユーザ経験とグラフィックデザインが必須でした。高いレベルのセルフサービスを奨励するために、機能は直感的なものである必要があり、これにより、低コストでより優れたユーザ経験を積ませることが大切です。


プロジェクトの実施期間中を通じて、経験設計(experience design)ワークストリームが導入されました。伝統的なアプローチでは、開発の前に、ブランドの作成、モックアップの作成、ワイアフレームワークの作成が行われ、そして凍結されます。これに対して、直観的アプローチでは、開発と並行してユーザインタフェースが改良されていきます。ユーザとデザイナーは、毎週新しい、動くウェブサイトをレビューすることが出来るのです。各イテレーションは、小さな断片的な開発ですので、どの段階においても変更のコストは小さく、新しくワイアフレームワークを作り、後で本物を作りなおすよりも、はるかに経済的です。これだけでなく、開発者が実際のサイトを開発した経験から見積もりを教えてくれるので、デザイナーにとってどのような機能や変更にどれだけのコストがかかるのかを知ることが出来る利点があります。


新しい www.culturaldistrict.org の開発結果がどのようなものであったかは、このサイトそのものが語ってくれます。このエレガントで、しかしながら使いやすいサイトは、予定のコストとプロジェクトのスケジュール制約の中で完成し、オンラインセールスの増加をもたらしたのです。

PCTのExecutive Vice PresidentであるRona Nesbitは、次のように述べています。
「ThoughtWorksは、顧客としてではなく、パートナーとして私達と共に働いてくれました。具体的には、期限を守るために残業をしてくれたり、予算の制約に合わせるために柔軟に働いてくれました。私達は、ThoughtWorksが他のコンサルタントと大きく異なるのを見てきました。そして、そのことに深く感謝しています。」

新しいプロセスは進捗状況を透明化

毎週、各イテレーションの終わりに、ThoughtWorksは、各組織からの営業管理者、中心的なユーザおよび経営会議メンバーを集めて、開発中の機能のレビュー、プロジェクトのリスクの監視、スケジュールとコストに関する状況評価について説明しました。週ごとに、誰でもが動作するソフトウェアを評価することが出来て、費用とスケジュールの状況が更新されて報告されるため、PCTはプロジェクトの状況を管理することが出来て、かつ、拡張の可能性や経費の状況についても知ることが出来ました。このことにより、スケジュール上の遅延を起こすことなく、開発の優先度および必要性に応じた拡張についての決断を下すことが出来たのです。

PCTのDirector of TechnologyであるDann Hofferは、次のように述べています。
「他のベンダーとの間では、どことでも、私達は依然としてワイアフレームをレビューし改良し続けています。私達が、すでに、Phantom micrositeを出荷し、新しいculturaldisnrict.org をサービス開始しようとしているのは、本当に印象的です。」

何が必要ですか?! チームはビジネスの変化に追随

アジャイル開発手法の利点の一つは、プロジェクトの基礎を壊すことなく変化に対応することですが、6月のリリースのための開発で、そのことを立証することが起こりました。その年の最も大きなイベントであるPhantom of the Opera の販売キャンペーンを支援するmicrosite の開発に焦点をシフトすることが出来ないか、とPCTが要請してきたのです。このキャンペーンでは、そのためのチケットを販売するサイトを、2010年の5月までに必要としていました。


開発チームは、この臨時の要請にこたえることが出来て、5か月以内で出荷しました。当初に計画されたリリースは、上記のような開発上のシフトがあったものの、当初計画の2~3週間遅れで、2010年6月に出荷されました。このPhantom micrositeは、初日に、期待を上回る売り上げを達成しました。

AgileとThoughtWorksは、価値を短期間で実現

PCTは、開始から5か月で成果を得られ、その後、長くとも8週間以内に繰り返し継続的な拡張が出来ることのビジネス的利点を認識し始めました。新しい機能、例えば、自分の座席の予約機能(Select Your Own Seat)、座席マップとグループ販売、等が追加されていきました。通常のリリースは、高い優先度のフィードバックを着実に反映することを可能にしました。これは、ビジネスユーザにとって、感動(Aha!)の瞬間を与えるものであり、アジャイルプロセスの価値を示すものでした。11月の最初の週に実施された4回目のリリースでは、チケットの登録機能が、オンラインでのチケットの交換機能、寄付機能と共に提供されるようになりました。


PCTと芸術組織の7つのコンソーシアムメンバーは、今や新しい共同マーケティングとチケット販売のウェブサイトを持ち、電話やボックスオフィス販売を、このオンライン販売の方が上回るようになりました。新しいCMSのよる機能は、各組織が自分のイベントを追加したり保守することを可能とし、自分の独立のブランドのパスを作ることを可能とする一方で、1つのショッピングカートによるシームレスなオンライントランザクションを保証しています。新しいメンバー組織が加わった時に、新しいブランドによるパスを追加することも容易に実現出来ます。イベントのコンテンツとして、イメージやその他のマルチメディアを、Radiant CMSを使って追加することも出来ます。

持続可能な未来

将来のことを考えると、PCTは今やアジャイルプロセスを経験済みで、変更はメンバー組織の優先度付けに沿って着実に実現されていきます。そして同様に、アジャイルプロセスとこれらの将来の変更を支援するための開発およびテスト環境は、今やしっかりと整えられています。

原文:Case study - The Pittsburgh Cultural Trust(ThoughtWorks社サイト)

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